世の中のニーズと起業家の野心の両面を感じる本 書評57『業界破壊企業~第二のGAFAを狙う革新者たち~』斉藤徹

書評

今年5月に刊行の書籍です。
世界で活躍しているテクノロジー系ベンチャー企業の事業概要が
22の事例で紹介されています。

見渡してみると世界には経営者のセンスが光る、
様々な業態の企業が存在することに改めて気付かされます。
中にはこの業態でマネタイズするのは難しいんじゃないか?
思ってしまうような企業もありますが、
一筋縄では考えつかないような収益の糸口は潜んでいるものです。
企業別にどのように儲けを得ているのか、を眺めているだけでも楽しいです。

また、昨今は民間企業にも、収益拡大以外に重要視すべき指標が増えています。
SDGsに代表される「持続可能な社会の推進」や、自社製品や
サービスを通じた顧客への「感動体験の提供」などがそれです。

市場を取り巻く環境がとてつもないスピードで変化する今、
お客様が企業に対して求める価値も変わりつつあります。

旧来のように社内で綿密なビジネスプランを練って市場に製品を送り出す方法ではなく、
お客様の課題を仮設として立て、何度も市場で検証を繰り返し
課題解決に導く無駄のない経営方針、すなわち
「リーンスタートアップ」の考え方が大切だと筆者は説いています。


サンフランシスコやシリコンバレーで躍動する起業家たちは皆、
この考えに基づき市場でPDCAを回す改善活動を行っているように見えます。
そしてそれ以上に、彼らは「社会における〇〇を解決したい」という
強い実現欲求を持っています。
お金を稼ぎたい、名誉が欲しいといった私利的な理由ではなく、
社会に対して与えるインパクトを原動力として、彼らは日々走り回っています。

本書ではたくさんのスタートアップ企業の活動及び、活動の根底にある
創業者の思想が紹介されていますが、どれも簡単に真似のできるものではありません。


課題解決能力の向上や、世の中のニーズ探索に先行して、
「この状況をなんとか改善したい!」という強い思いが、
第二のGAFA誕生の第一歩になるのだろうと。
どうしても新書なので一企業分の紹介は薄くなってしまいますが、
設立に際した起業家たちの野心を想起しながらページを進めると、
楽しい読み方になるんじゃないかなと思いました。


#文中にクリステンセンのイノベーション理論が若干出てくるので、
概要を理解した前提で読むと、企業ごとの特徴が浮き彫りになってより面白いかもです。

3.4

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