★良書。忘れかけていた教養の大切さを思い出させてくれた 書評56『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周

書評

タイトルからして、意識高い層向けのファッションの本かなとか思ってました。
読んでみたら全然違いました。今の僕が求めていた本でした。


ビジネス書が好きな方や課題解決能力・ロジカルシンキングの習得に
精を出していらっしゃる方に是非読んで頂きたい一冊です。
なんか久し振りに頭の中ひっくり返されて「やられた!」という感じです。笑

市場のグローバル化・多様化に伴い、もはや一企業がひとつの正解を導き出すことは
極めて難しいビジネス環境になっています。
この環境では正しい正解を導き出す論理的思考は限界が出てきてしまいます。

また市場で生活する人々の欲求が高次的になり、市場の感心は提供する製品の性能重視から、
自己実現願望を満たす提案へとシフトするようになりました。
販売側が論理的に考えるビジネス戦略よりも、買い手の感性に訴えるような
アート思考、すなわち「美意識」が求められる世の中になりました。

世界を股にかけて活躍するグローバル人材は今、こぞってアートスクールに通い、
美意識を高める訓練をしているのだそうです。
哲学や美術・音楽などといった正解のない学問を突き詰め、自分自身の確固たる価値基準を
築き上げることで、周囲の意見に忖度した意思決定を無くすことができる
、と著者は説きます。

なるほど日本企業は特に、トップが右と言えば右、左と言えば左を向くような、
長いものに巻かれるような判断をしてしまいがちに思えます。
『失敗の本質』で描かれる太平洋戦争中の日本軍の失態や、現代で言えば
三菱自動車のリコール隠しなんかも、この「長いものには巻かれろ」文化の悪しき弊害と言えます。

学生時代のように机上の勉強ができれば優秀、という時代は終わりました。
日々の業務で失敗してしまった時はつい目の前のことで精一杯になりがちですが、
目前の正解を求めることが社会人としてのゴールではなく、長い年月をかけて培ってきた教養が
次の時代のイノベーションを生むのだ
という理屈が、本書を読んで腑に落ちました。
前回の書評でも書いた池上彰さんが唱える「リベラルアーツ」がなぜ重要なのか、
やっと理解できた気がします。

ますます曖昧さや不透明性が増す市場経済で生き抜くために、
自分自身で進むべき道を決めなければいけないというプレッシャーはあります。
そのプレッシャーに打ち勝つ自信を与えてくれるのは、今日まで歩んできた自分自身の体験
だということも、すごくよくわかります。

本だけ読んでわかった気になっていてもだめでした。
行動して、体験して、五感で感じ取ったものこそが自分の血肉になる、ということを
しっかりと理解した上で、教養を深める努力をするべきでした。

ビジネス書を読み漁っている自分には脳天を殴打されたような読後感でしたが、
忘れかけていた大切なことを示してくれる一冊でした。
生真面目に一つのことに邁進するのではなく、もっと自分のやりたいことを
実現していっていいんだ、それが力になるんだ、と意識が変わりました。

ここ3ヶ月くらいで一番のヒットです。読んでよかった!
※すぐ感動するので3ヶ月前にも同じこと言ってるかもですごめんなさい

4.0

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