自分と向き合う時間が教養を育む 書評51『遅いインターネット』宇野常寛

書評

タイトル見て「ネットワークの本かな?」と思い
手に取りましたが、全然違いました。笑


情報通信社会の発展により経済のグローバル化が拡大しています。
我々の生活圏内には数多の情報が溢れ、自らの目利きで正しい選択を
行っていかなければならない時代になりました。

しかしながら、現代人ひとりひとりが正しい選択に着手できているか
と問われると、決してYesとは言えない現状があります。

個人はSNSの普及によって、十数年前と比較して圧倒的に
情報を「受容し」、また「発信する」環境に恵まれるようになりました。

一方でタイムライン上には、流行のファッションから、マスコミの報道・
政治家へのヘイト等、マジョリティの意見で埋め尽くされています。

彼らの意見から逸脱した投稿を行うと、
たちまち不特定多数からのバッシングの対象になってしまいます。
個人は大衆の「ご意見伺い」となり、大衆と主張を合わせることで
あたかも自立した思考を持っているかのように思い込みます。

また自らが確固たる政治思想を持っていると思い込んでいる
左右の党派層は、タイムライン上に流れてくるニュースへの批判を
拡散することで、自己顕示欲を満たしています。

耳が痛い話ではありますが、本来自由な意見交換になり得るはずのインターネットで、
「主体的な意思の発信」が出来ている人はごく少数派です。

この惨状に危機感を持った著者が始めた運動が、本書のタイトルである
「遅いインターネット」計画です。
読者に良質な示唆を与えるウェブマガジンの提供と、
アウトプット力を鍛えるワークショップ
を両輪で運営していく、
という著者の宣言が、本書の主題となります。


インターネット上に流れてくるフェイクニュースに惑わされない力は
『FACTFULNESS』のような他書でも綴られている通りもちろん大切です。


加えて、良質な書籍を読んだ後、それを適切なアウトプットに変換できているか?も、
自分にとっては胸に刺さる課題として印象に残りました。
どうしても更新ありきの読書スケジュールを組み立てると、一冊あたりの
考察時間が短くなってしまいます。内容を咀嚼しきれて居ない瞬間が出てきてしまいます。


じっくり物事に向き合い、血肉にしていくことこそが教養だと
『多動力』でホリエモンも言っていました。

目まぐるしい情報社会の中で、
「民主主義を守るために必要となるのは
もっと〈遅い〉インターネットだ」
・・・

表紙通りの結論に落とし込むまでの過程が実に鮮やかで、とても腑に落ちる内容でした。

著者運営のウェブマガジンも覗いてみました。
「教養」を育むのにピッタリのコンテンツが揃ってそうです。

自分の人生観についても考えさせられるような一冊でした。
生き急ぐのではなく、じっくりと自分と向き合って過ごしてみよう。
心の奥底に自分を律する「芯」を作ることを心がけてみよう。
今そんな思いになってます。

3.7

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