目を背けたくなる。過去の自分が責められているようで恥ずかしくなる。でも読む 書評37『天才はあきらめた』山里亮太

書評

○大学時代の友人S君にオススメ頂き購入しました。
 「他人への気遣い」と「肯定」は彼に教えてもらいました。
 距離が離れていても変わらず友人でいられることが嬉しい人のひとりです。



他人と比較する人生。
取り柄のない自分への嫌悪。
失敗しないための言い訳作り。
並々ならぬ劣等感を抱えた彼が辿り着いた
たった一つの逃げ道ー「努力」


読んでて辛くなりました。
まるで自分が責められているような感覚に陥ります。
世の中全ての不器用男子の心に突き刺さると思います(笑)




南海キャンディーズ山里さんの自叙伝。
自叙伝といってもカッコつけの自分語りが
散りばめられている訳ではありません。
この本には、著者の善も悪も、その時々に抱いた感情が
ありのままに描かれています。



世の中には、自分ではどうやっても太刀打ちできない「天才」がいます。
どんなに頑張っても追いつけない雲の上の人間がいます。



でも不器用な我々は、なんとかして彼ら天才に追いつこう、追い抜こうとします。
時に寝食を忘れて彼らに一矢報いる「努力」をします。

「努力」を続けることで、まるで自分が何者かにでもなったような気がします。
雲の上にいる天才たちに追いついた訳では無いのに、
「自分はイケてる」と勘違いするようになります。



そして、その努力を他人に強要するようになります。
「なんでこんなこともできないのか」「やる気が無いのか」
天才たちに勝てない焦りは怒号となって周囲に拡散されます。



もちろん、その過程で自分の熱意に共感してくれて、目標を共にする仲間もできます。
一方で、そんな自分と「努力」を続けることが苦しくなる人も出てきます。
独りよがりな「努力」から置いてけぼりにしてしまった人たちに対して、
後で激しく罪悪感を覚えます。



わかる。すげーわかります山ちゃん。
自分の利己的な努力で他人を振り回してしまったことで、
不器用人間は自責の念に駆られてしまうのです。
※湘北の赤木ゴリさんみたいな感じです。
 スラムダンクも読んでて胸が苦しくなる時あります(笑)




「努力」をしている最中は、何物かになろうと必死なんです。
だから、一緒に付いてきてくれない人が目に入らなくなってしまいます。
そうやって、自分も何度も何度も後悔を繰り返してきました。


そんなことを続けるうちに、ある日ふいに「他人への感謝」の気持ちが芽生えます。
自分が努力できる環境にいれるのは、沢山の、本当に沢山の
人々に支えられているからなんだと、ふと気付きます。


過去の経緯で対立してしまった人には本当に申し訳ないんだけれども、
でも色んな人に刺激をもらって、助け合いながら人間は成長していくんだなあと思います。



お笑いに対して異様なまでにストイック。
コンビを組んではそのプロ根性で相方を潰してきた「暴君山里」が、
相方しずちゃんに感謝の念を抱くようになるまで。
本書にはその十数年のヒストリーが刻まれています。


男のコンプレックスというのは、とても見苦しいんだけれども、
それを見返すための努力は、さらに面倒くさいんだけれども、

自分を肯定するために、自分と戦い続けた男の奮闘劇が本書には詰まっています。

世の不器用男子よ、ぜひ本書を読みましょう。
そしてあの頃(今も?)の不器用な自分と対比させて悶絶しましょう。



3.8

コメント

タイトルとURLをコピーしました