書評9『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤孝

書評

読書のアウトプットを始めて少し時間が経ったので、
改めて「自分は何のために読書をするのか」を整理したくて購入。

著者は明治大学文学部教授の齋藤孝さん。TVバラエティでおなじみの方で、独自の”読書論”を
展開されているのは知っていたので、手にとってみた。

読んだ感想は「著者のオススメ書籍を紹介する本」というイメージが強く残り、読後の現段階で
何かを学べた、という気持ちにはなれなかった。
文中でオススメされていたり引用されている本をいくつか読みこなしていけば、
また違った景色が見えてくるかもしれない。

なぜ、読書をするのか?

この問いに対する答えは”読書は人に「深さ」をつくる”からである。
深さと言っても一つのことを突き詰めただけの専門的な知識ではなく、いわゆるリベラルアーツ的、
全人格的なもののことを指す。

近年グローバル化が進み、社会問題が複雑化する中で、問題解決には専門分野を超えた柔軟性が必要だと
強く認識され始めている。

コンサル的なロジカルシンキングを突き詰めたところで、他の知識のバックボーンが無ければ
浅い問題解決しかできない。
総合的な知識を吸収するために最も効率が良いのが読書。だから人は本を読むべきなのである。

深い人と浅い人の差を決定づけるもの

これは一言で言えば「教養」である。
教養とは単一の知識ではなく、自分の中に取り込んで統合し、血肉となる幅広い知識である。
人間の能力には「知性」と「センス」があり、「センス」は天性のものだけれども
「知性」は読書によって磨くことができる。
そして「知性」(=「教養」)がある方が、人生が面白くなる。

深さを手に入れる方法

これは深くその物事を捉える力、「認識力」が必要である。
認識力が高まるとビジネスでも相手の要望を正確に捉えて結果を出すことができるようになる。
一流の認識力の持ち主の本を読むことによって、読者の認識力も磨かれる。

一流の認識力を持つ人物として例を挙げると、世阿弥。有名な言葉に「初心忘るべからず」がある。
この場合の初心とは「芸の未熟さ」のことである。
一流の認識力を持っている人間ほど、自分がまだまだ未熟だと自覚して、より一層物事に励む。
そして成長することができるのである。

読書でこのような深さを手にするには、「広く深く」読むと良い。
人間は一見関係ないような別の事柄について深く知ったとき、それぞれの点が繋がり成長する。
だから同じ著者の本ばかり読むのではなく、沢山の著者の作品に触れてみる。(=「広く」)
また同ジャンルで一度に5冊読んでみる。(=「深く」)
このような読み方を心がけることで点と点が線として繋がりやがて面になるブレイクスルーが起こる。

思考力を高める読み方

まずは、「自分に引きつけて考える」ことが大切である。
ただの読解に留まらず、「自分の場合だったらどうなるだろう」ということを想起して読み進める。

さらに、「対話をすること」も効果がある。
読んだ本の感想を他人に話すことで、思考が深まる。
※日本マイクロソフト元社長の成毛眞さんも同じことを言っていた

対話する人がいなければ、「その本のレビューを読む」ことも効果的である。
自分と同じ感想を持つレビューがあれば「その通り」と確認することができるし、
異なるレビューがあれば「それは違う」と反論することができる。
この動作を行うことで思考が動き深めることができる。

所感~読書の入門書にはまずまず。これだけで教養は深まらないが~

ざっと気になった部分を記述してみた。
この手の本を読んでいると確かに違う著者でも共通する部分、逆に反対の部分が出てきて
それが結びつくと知識が身になったなと感じる。

面白かったというか勇気が出たのは「人間は美しく生まれつかなくても、魅力を出せる道がある」
という文中の記載である。
先日橘玲さんの著書『言ってはいけない』を読んで「努力は遺伝に勝てない」「美貌格差は存在する」
という主張を目の当たりにしていたので、これに対する反証を齋藤さんのような読書の第一人者が取り上げて
くれているのは勇気が出た。 ※上記についてはデータに基づく記載だとより納得できたかもしれない

本書は著者の読書に対する愛がありありと描かれ、思いが伝わってくるのだが、
一方で「感情を動かしながら読もう」と言ったメンタルチックな指摘も多く、読み方の指南としては
若干新書よりは文学向けかな?と感じた。

文中に出てくる書籍をほとんど読んでいないので共感できる内容が薄くなってしまったとは思う。
本書を読んで何かを学ぶというよりは、何を読むべきか悩んでいる方へのガイド書という位置づけがちょうど良い。
どんな新書を買うかはいつも悩んでしまうが、本書に出てくるオススメ本は漁ってみたい。
自然科学系の書籍とかは馴染みが薄いので認識力向上にもってこいな気がする。
ということを考えると次の一冊選びにワクワクしてきた。本書はある種自己啓発的な要素も含んでいる?

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