書評6『黄金のアウトプット術』成毛眞

書評

アウトプット力を高めたくてブログを始めました。
一方で、アウトプットに関する書籍もそれなりに読んできました。
久し振りにこの手の本で刺さったのでご紹介です。

元日本マイクロソフト社長、成毛眞さんの著書。
PC専門誌のライター、大手企業の社長、退社後にコンサルティング会社起業、
書評サイト「HONZ」設立など、無類の本好きかつアウトプット家である成毛さんに
”大衆を脱出するアウトプット術”を学びます。

冒頭で著者は、「日本の大人はアウトプットが不足している」と説きます。
ゆとり教育を生きてきた我々世代はクラス全員が一律の学校教育を受け、受動的に講義に出席していました。
テスト直前期に詰め込み勉強をし、テスト用紙に正しい回答を書けば単位が貰える、
そんな風に暗記一辺倒の学生生活を送ってきました。

一方、最近の若者(=脱ゆとり世代)は学校教育にアクティブラーニングが取り入れられるようになったことで、
比較的アウトプット慣れしています。
YouTuberが職業と認められ、個々人の表現がお金になる時代がやってきました。

こうなると、ゆとり世代を生き抜いてきた我々は、自分より年次の低い後輩にあっという間に
追い抜かれてしまう可能性があります。
良質なアウトプットがお金になるのに、ゆとり世代はアウトプットが苦手だからです。
本書は、アウトプット力を高めたいけど何をすれば分からない…と思っている意識高い系ゆとり世代に向けた、アウトプットの指南書と言えます。

著者は、良質なアウトプットを行うための方法を以下4つに分けています。
①紹介文を書くこと
②話す機会を増やすこと
③身だしなみに気をつかうこと
④「知識」ではなく「技法」をインプットすること

良質なアウトプットのために①~紹介文を書く~

著者はアウトプットの基本は「文章を書くこと」だと言います。
日本の義務教育を経験しているということは、日本人は文章構築の基礎は身についているからです。
ただし、読書感想文や紀行文などの情緒や情景を語る文章には才能の差が顕著に表れるが、
読んだ本がどんな内容だったかの説明をする「紹介文」を書くことは、
誰にでも始められる社会人が行うべき最も簡単なアウトプットだと述べています。

個人がブログに紹介文を書く際に大切なのは2つ。修正を前提に公開してみること文章を簡単に書くことです。


まず修正を前提に公開してみることですが、
個人ブログは商用の文章のように編集者との内容チェック、校閲担当の誤字脱字チェックが発生しません。
すべて自己責任で記事を公開します。
ただし、記載にミスがあってもほとんど咎められることがありません。むしろミスを読者に指摘されることによって、
新たな気づきをえることだってあり得ます。
重要なのはアウトプットによって気付きを得ること。後から修正なんていくらでもできるので、
完璧を求めすぎず発信していくことが成長への近道です。


また文章を簡単に書くことも大切です。
アウトプットの目的は「賢そうに難しい文章を書くこと」ではなく。
「インプットを消化し、形を変えて放出すること」です。
その結果として、誰かに「あの人はこういう人なのか」と思ってもらい、
フィードバックを得ることが成長に繋がります。
外国人や幼稚園児でもわかるような平易な文章作成を心がけることが、良質なアウトプットに繋がります。

良質なアウトプットのために②~話す機会を増やす~

書くことと並んで、話すことは重要なアウトプットだと著者は説きます。
大企業の役員や講演家などのプレゼンの達人を含め、どんな人にも共通して言えることがあります。
わかりやすく、面白く話すためには、準備をすることが大切だと言うことです。

話すときは、書くときと同様に「何を話すか」を最初に決めることが重要です。
話したい内容を毛糸玉に見立てて、その毛糸玉から毛糸を引き出すように、
言葉を引き出すイメージだと表現しています。


さらに上級者は、毛糸玉トークで成果と自信がついたら、「妄想を語る」ことが重要です。
例えばお互いに読んだことのない本について、タイトルや著者を見ながら妄想で対話を繰り広げていくことによって
毛糸玉無しでも不意に聞かれた質問などに対応できる力がつきます。

良質なアウトプットのために③~身だしなみに気をつかう~

著者は自宅では10年以上愛用しているパタゴニアの服を着ているようです。
一方、外出の際は新品のユニクロの服を着て出掛けるようです。
高くても古ぼけた服は、着ている人もくたびれて見せます。
一方で安くても新しい服を着ている人は、その人までパリッとした印象に見えます。
外見というアウトプットに無頓着であることは、自己表現の放棄です。
文章や話術だけでなく、周囲にどう見られているかは常に意識するべきです。

良質なアウトプットのために④~「知識」ではなく「技法」をインプットする~

知識のインプットは必要に応じてのみ行えば良い。大切なのはやり方、「技法」のインプットだと著者は説きます。
技法のインプットにも2つの方法があります。一つは「そのやり方を言葉でインプットすること」
そしてもう一つが「実際の技法を観察する」ことです。

後者の方が観察する文手間がかかるように感じますが、
専門書をいくら読んでも身につかなかったスキルが模倣することですぐにできるようになることは多々あります。
歌舞伎役者にゴルフが上手な人が多いのも、この「観察の力」「模倣する力」に優れているからです。
嫌なことを一生懸命詰め込み勉強することはやめましょう。

興味のあること、成果が出そうなことにフォーカスし、その分野で優れている人を早く見つけて真似すること。
これが良質なアウトプットへの近道です。

著者が伝えたいこと

上述のように良質なアウトプットの方法が綴られた本書ですが、
文章後半に特に筆者が伝えたいと強調している箇所があります。
それは「苦手な人から無理にアウトプットを引き出す必要はない」ということです。
話は話をしたい人から聞けばいいし、苦手なものを克服しようとすると、
インプットに満足して終わってしまいがちになります。

本来の目的を霞ませてしまうような達成感など、得られないほうがいい。

ここは著者が特に強調しています。
営業マンが嫌なお客様に提案して、結果売れたけれども嫌な思いをするのならばそれはマイナスです。
「いつか役に立つから」と我慢しながら行う努力は、インプット過多になるし継続できないので止めるべきです。
自分がワクワクを感じられる分野で、ワクワクを感じられる人からアウトプットを引き出すべきだというのが、
著者の最も伝えたいことのようです。

書評 経験をもとに綴られたアウトプット本は読みやすい

アウトプット本にありがちなテクニックを細かに並べた構想ではなく、
文章体で展開されていったのでまず読みやすかったです。
中盤の文字を書く際の留意点をまとめた章は、ひょっとしたらまどろっこしいと感じる読者もいるかもしれないけれど
私にはスッと入ってきました。ブログ執筆挑戦中だからだと思います。


全体の感想は、著者はこの「アウトプット」というジャンルにおいて絶対の自信があるのだなと感じました。輝かしい経歴を送っておられるので当たり前といえばそうなのですが、
子どもの頃からのSF好きで「妄想を語る」ことの重要性を実感しておられることや、
「HONZ」で自身が経験しているように自分の好きな人同士をくっつけると
さらなるアウトプットが生まれることの楽しさを語っておられることがとても印象的でした。
自らの経験に即したアウトプット術を展開しておられるので、読者も咀嚼しやすいのでは無いかと感じます。


最後に、文中で著者がオススメしていた文章構成を記載します。今回の投稿は少しこれを意識してみました。
800文字に収めてはいませんが、果たしてどこまで再現できてるかな。。。

【オススメの紹介文構成】 ※長さの目安は100 x 8 = 800文字。
第一ブロック:その本の印象の紹介
第二ブロック:その本の読者の想定
第三ブロック:その本の中身の紹介1(面白さをざっと述べる)
第四ブロック:その本の中身の紹介2(面白さをざっと述べる)
第五ブロック:その本の具体的な中身の紹介1(引用)
第六ブロック:その本の具体的な中身の紹介2(引用)
第七ブロック:その本の著者の具体的な紹介
第八ブロック:なぜこの本を取り上げたかのダメ押し紹介

コメント

タイトルとURLをコピーしました