書評23『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』ルトガー・ブレグマン

書評

先日『FACTFULNESS』を読んで
「世界をありのままに見る方法」について学びましたが、
「世界は時を重ねるごとに良くなっている」という記述に
なんとなく違和感を感じていました。

(今がまさにコロナ下にあるからなのかもしれませんが)
経済格差は広がる一方だし、職を失う人は日を追うごとに増えているし、貧困層が目立つ世の中になってきました。

そこで感じた違和感のアンサー本となるのがこの一冊になるように思えます。
人類は産業革命を経て爆発的に裕福になったけれども、
同時に資本主義社会では貧富の差が激しくなりました。

お金の無い人間は、その日その日を生き抜くことに精一杯で
IQ指数が低下し、産業発展に貢献することが出来ません(これを「欠乏の心理」と言います)。

そういった人々を救うべく著者が提唱しているのが
ベーシックインカムです。
著者は資本主義社会の否定はしていません。
市民が自由な経済成長を目指す中で、貧困層も経済活動の輪に加わることができるための手段として、ベーシックインカムを提唱しています。

さらにAIの出現により、人々の仕事は代替されていきます。
それにも関わらず勤勉な人類は職を求めて、マクロの視点で見ると
優先度の高くない職に従事し続けます。
近い将来、職に対する「需要<供給」の世界がやってきてしまいます。

そうなると、AIにはできない技術を習得できない「中流」の人々は、
さらに貧困に陥ってしまいます。
人類がテクノロジーの恩恵を受け続けるために、冨の再分配は必要だ、
というのが著者の意見です。

現実世界ではコロナ下の経済対策で、現金10万円の一律給付を
盛り込んだ補正予算が成立されました。
政府の思いは給付金を貯蓄に回すのではなく、経済活動の資源として
活用して欲しいという意図のはずです。
冨の資源が無ければ経済活動に参加できないという本能的な政府の考えが浮き彫りになった一件だったように感じます。

①ベーシックインカムを採用することで、貧困層にも経済活動に参加するチャンスが生まれ経済が大きくなる
②AIの登場で経済格差のさらなる拡大が懸念される中、現金給付は有効な手段である。


もちろん財源問題はあるでしょうが、興味深い主張が読めました。
これまた『FACTFULNESS』に書いていましたが
人間の「単純化本能」を抑えるために、異なる角度から問題を見ることは有効です。
FACTFULNESS』に描かれていた豊穣の世界の対比として、
本書で描かれていいる経済格差問題について考えてみる、
そんな読み方をすると思考に厚みが出て楽しいかな~と思います。

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