書評15『ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機』黒川敦彦

書評

新型コロナウイルスが猛威を奮っています。
世界中で経済活動の自粛要請が繰り広げられており、日本の4ー6月期
予想GDPは前期比マイナス25%と過去最大の落ち込みが見込まれています。

そんな経済環境下で、連日ニュースを賑わせているのがソフトバンクです。
本業の携帯電話事業や傘下のZホールディングスなどが9000億円の黒字
を挙げる一方、投資会社の「ソフトバンクビジョンファンド」が2020年3月の通期予想で1.8兆円もの損失を
計上したことが発覚しました。

ソフトバンクのような大企業にもしものことがあれば、
メインバンクのみずほ銀行を始め、下請け会社、一般ユーザーにまで
幅広い影響が及びます。

本書は、リスクを顧みず危険な投資を続けるソフトバンクの実態から、
想定される「悪夢のシナリオ」を紐解きます。
さらに、同様に危険な投資を繰り返す農林中金やゆうちょ銀行から、
日本に迫る金融危機を注意喚起する内容になっています。

金融について知見が無くても非常にわかりやすい文体で実情が描かれており、新聞レベルの知識を補完した上で日本がどこまで「ヤバい」状況に立たせれているかを把握することができます。
ソフトバンクが赤字になったのは知ってるけど詳細が分からない…という経済初心者に是非読んで頂きたい一冊です。

ソフトバンク神話の崩壊

2013年に米スプリント社を買収した孫正義会長は、「情報通信革命を起こす」との宣言のもと様々なベンチャー企業に出資していきます。
投資会社「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を立ち上げ、
米WeWork、Uber、印OYOなどの注目スタートアップにどんどんと投資をするようになります。

しかしながら、上記は不動産転貸業だったり、ライドシェアだったり、
一昔前にも市場に存在していたITとは無縁の業態を生業としています。
多額の投資金をつぎ込んだものの業績は伸びず、赤字を垂れ流しています。

さらにUberなどはアメリカ国内のタクシー業界の雇用をも奪っているため、業績不安定の企業がソフトバンクの力を借りて業界を荒らし回り、
自らも先行きが見えないという悪循環を作ってしまっています。
必要以上の投資は、業界のバランスを崩壊させ雇用を奪います。

金融業界でも同様の事例

ソフトバンクと同様に、農林中央金庫やゆうちょ銀行もCLOという
金融商品に多数投資することで、資産を増やしています。

CLOとは簡単に言えば「ゴミ同然の」ハイリスク証券です。
リスクが高いので当たれば高い利回りを期待できますが、リーマンショック時のサブプライムローンのようにゴミ屑になってしまう可能性も大いに秘めています。

農林中央金庫が保有する55兆4000億円の有価証券のうち、
43兆1000億円はその他有価証券(≒CLOのような危険証券)のようです。
いつぞや焦げ付いてもおかしくありません。

ゆうちょ銀行も同じような傾向が見られます。
なぜこのような状況が生まれるかと言うと、アメリカ政府からの圧力で日本の金融機関がリスクの高い金融商品を買わされているからです。
焦げ付きの気がある商品を日本に押し付けることで、自国での爆発を回避しているのです。日本もアメリカには頭が上がらずホイホイと買ってしまいます。
政府系の金融機関ほどこの傾向が強いです。

空前の低金利化で、地銀でも同じような動きが見られます。
いまSBIホールディングスが地銀を統合し「第4のメガバンク」を
作ろうとしていますが、これも預金をまとめた上で外資商品を大量に購入するのだと見られています。

リスクを背負う日本と必死に働く私たち

上述したように日本はいつ爆発するかわからない大量の爆薬を抱えています。
さらに政府の規制緩和政策によって多くの派遣社員が生まれています。
バブル崩壊が再び起きれば弱者は損切りされ、路頭に迷う人が沢山出てきます。
既にコロナによる経済停滞で職を失う人が出始めています。

著者はこの現状を変える手段として、
①政府が諸外国に屈しない姿勢を取ること
②国内産業を守るべくITリテラシーの高い人材を育成すること
③人々が自由に操作できる資本主義の仕組みを変えること

の3つを掲げていますが、中々実現は難しそうです。

書評~厳しい現実。でも知っておくべき現実~

リーマンショックを超えるレベルの不況がすぐそこまで差し迫っている、というのがよく分かりました。
新聞やニュースで見たけどイマイチ掴めなかった要点をスッと落とし込む事ができました。タイトルは難しそうだけどかなり良著だと思います。

株価大暴落・大不況がすぐそこまで迫っているのであれば、今のうちに
現金を貯めるしか手が無さそうです。
コロナ影響で既に市場は厳しいですが、個人ではニーズのある職に手を伸ばして副業を始めてみる、なんていう努力もいよいよ始めなければ
いけないのかもしれません。

ある種どうにもならない窮地に立たされているからこそ、
どのようにして自分を守っていくか、をしっかり考えさせてくれる一冊です。今のタイミングで読むのが非常にオススメです。

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