書評1 『不格好経営』南場智子

書評

DeNA創業者、南場智子さんの初出版書籍が面白いので感想を記載。
南場さんの激動の人生をユーモラスに描いている。

コンサルタントと事業リーダーの違い

南場さんは1986年、大手外資系コンサルティング会社のマッキンゼーに就職。
大手企業の役員を相手に、巧みなコンサル手腕を発揮していく。
ただ、自分で事業をやれない「もどかしさ」を感じ、1999年にDeNA創業。
本書でコンサルタントと事業リーダーの違いをこう語る。

「優秀なコンサルタントは、間違った提案をしても死なない立場にいるからこそ価値のあるアドバイスができることを認識している。」

コンサルタント時代はこれでもかとクライアントについて調べ、事前準備してきたが
「実際に実行する前に集めた情報など、たかが知れている」と語る。
事業リーダーとして大事なことは、①正しい選択肢を選ぶ に加え、 ②選んだ選択肢を正しくする の2点である。
組織は、優秀なコンサルタントばかりでなく、行動力のある人、思慮深い人、技術力に長けている人、人付き合いが上手な人、色々なタイプが必要である。DeNAは、個々人の価値観を尊重し若手にもBig Projectを任せている。

印象に残ったポイント

普通に物事が回る会社、普通にサービスや商品を提供し続けられる会社というのが、いかに普通でない努力をしていることか。

本文中では特段重要視されている一文ではないが、社会に出ると痛いほど意味がわかる。どの企業も当たり前にお客様に製品やサービスを提供しているのではなく、試行錯誤しながら良質なものを供給しようと奮闘しているのである。生産側はその努力を微塵も怠ってはならないし、営業部門は誤解を招く言い方だが、自社の製品が常に100%完璧な状態で出荷されると思わない方が良い。事業をするということは日々トラブルがつきものであり、トラブルに対処する力もまた確かな営業力なのだと思う(←というのは自分への自戒でもある)。

何かをやらかした人たちに対する反応は、その会社の品性が如実に表れると感じる。

ヤフーと共同で設立した新事業、ヤフー・モバゲーの立ち上げ時に大規模なシステムトラブルを起こしてしまったDeNA。両者ともに大量のエンジニアの工数を割き缶詰作業となり、ヤフー側にはこっぴどく怒られたが、「今後はプロジェクトを一緒に成功させていこうという前向きな話に持ってってくださった」と当時の事業責任者は語る。
優れている企業こそ、ミスしたとしてもその先を一緒に考えてくれるパートナーなのである。だから目先の失敗を恐れず、どんどんと胸を借りるつもりで提案すればいいのだ(←これも自分への自戒)。

決定したプランを実行チーム全員に話すときは、これしかない、いける、という信念を全面に出した方がよい。

新事業立ち上げの際、検討に巻き込むメンバーは一定人数必要だが、自分の意志は明確に伝えたほうが良い。「失敗したらどうしよう」と怯えているのではなくて、本当は迷いだらけだけれども、それを周囲に見せないほうが成功確率は格段に上がる。迷いのないチームは迷いのあるチームよりも突破力がはるかに強いのである。

感想

企業人の自伝は結構な数読んできたが、ここまで自虐(社虐?)に飛んだ一冊には出会ったことがなかった。大手コンサルや金融業界から自分の可能性を信じてスタートアップに飛び込み、幾度となく失敗しながらもPDCAを回し、共に困難を乗り越えてきたからこそ信頼し合える仲間と事業拡大に奔走できる姿は、本当に羨ましく思えた。節々に出てくる冗談混じりのフレーズも、社風の良さを感じさせた。自分は社会人4年目を迎えて、少し(かなり)一歩踏み出すのが億劫になってしまっている。既存業務の枠から抜け出せずにいる。同じ社会人、こんなにもチャレンジャブルな人生を送っている人々がいるんだと考えさせられた良書である。

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