企業人の心構えの原点 書評39『小倉昌男 経営学』

書評

小倉昌男の『経営学』ではないです。『小倉昌男 経営学』と名付けた書き様がカッコイイです。
ヤマト運輸の中興の祖、「宅急便」の生みの親である著者書き下ろしの経営書です。


企業が危機に陥った時、「何が問題なのか」「何をやらなければならないのか」「なぜ、やるのか」を突き詰めて理論化し、次々と実行に移していく著者独自の経営理論が散りばめられています。
実話に基づいたケーススタディで「課題」→「改善策立案」→「実行」が学べるため、
現場の実務をイメージしながら読み進めることができます。



著者の企業改革は、常に「より良い方向に向かうための選択の連続」にあります。
その時々の課題を捉え、最善の改善策を選択し取り入れ、一方で旧態依然の悪慣習は捨て去ります。

〈小倉昌男の経営改革 一例〉
①宅急便事業を伸ばす為、法人宅配業の大口顧客との取引打ち切り!
②「安全第一、能率第二」の訓示の下、事故減の仕組み作りに奔走
③お客様の信頼を確立するための投資は惜しまない。モットーは「サービスが先、利益は後」


本書から学ぶことができる「課題の本質を見つける力」は、広い視野と経験が必要なため、
身につけるには時間がかかるかもしれません。
一方、「課題を改善すべく実行する力」は心持ちの問題です。
どれだけ周囲に事の重要さを認識してもらい、協力を得られるかがポイントになります。

私も社会人なので、自分と考え方が違う人、仕事の進め方が異なる人には
今までもこれからも当然出会います。

そんなとき、批判を恐れずにいかに自分の思いを他者に伝えられるか、がポイントになります。
ひとつ前の投稿にも書きましたが「付和雷同」な考え方を善しとしない著者の行動は、
粘り強く周囲の人々に働きかけ、協調し、共に実行するという点で大変参考になります。


本書の初版刊行は1999年。未だインターネットが普及しきる前の書籍なので、
人々の暮らしも企業のビジネス形態も当時とは大きく異なります。


でもいつの時代でも大事なのは、物事の本質を捉える力と改善に移す実行力。
経営学が主題ですが、経験の浅い若手社員こそ手に取るべき一冊だと思います。


「顧客目線の営業」とか「なぜなぜ思考」とかビジネス書を開くと
意識すべき用語が沢山書かれてますが、実践するとなるとなかなかどうしてうまくいきません。
悩み詰まった時、本書は問題の本質を再度見直し、自分が行動する理由を振り返るための道しるべになってくれるはずです。

3.8

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