なぜ知識習得がうまくいかないのだろう?を考える 書評43『ことばの発達の謎を解く』今井むつみ

書評

言葉の概念を何も知らずに誕生した赤ちゃんが、
言語を理解していく過程を追っていくのが本書の主題です。


私自身も同じ過程を辿ってきたはずですが、自分がどのように母国語を習得していったのか、
思い出すことができません。


ただ幼い頃は、「チガが出る」「カニに刺された」
よく言い間違いをしていたことは覚えています。
年少時代は「血」なのか「チガ」なのかを巡って友達とケンカしたことも覚えていますが、
これもいつの間にか言語として習得していました。


本書の内容をざっくり紐解くと、

・赤ちゃんはまず単語を覚える
・覚えた単語同士に共通する規則性がないかを探す
・自分が編み出した規則性に従って試す
・試した中で間違いを把握し、「修正」する

こんな感じになります。
赤ちゃんは良く言い間違いをしますが、これは本人の知能が良くないのではなく、
より正確に物事を理解するためのきっかけを作っているため、と著者は説きます。

駆け出しの社会人は失敗しながら仕事を覚える、とよく教えてもらいますが、
幼少期も全くな同じようです。
人間は元来知識のアウトプットと振り返りから、
理解を深めていく生き物であることがわかります。



本書は赤ちゃんが母国語を覚える過程にフォーカスした内容ですが、
第二言語の習得や、私自身の立場で言えばIT用語の習得にも応用できると感じました。
1つの分野だけを極めようとするのではなく、幅広い知識を身につける努力をすることで
点と点が一本の線となり実力に繋がること。
1度勉強したから終わりではなく、何度も振り返り知識の修正を行うことで、
理解をより確固たるものにすること。
この2点を日々意識して動くことによって、闇雲に勉強を続けるよりも
グッと成果が近づくと思います。
日々がルーティーン化してくると新しい知見に触れる機会が少なくなってきますが、
積極的に知識を”獲りに行く”、そして獲得した知識を”アップデートする”
ことの大切さに気付かされました。



平易な文体かつ文量も多くないのでサラッと読み切れます。
しかし世代問わず、また文理の違い問わず、あらゆる人々に目からウロコの内容なはずです。
ちくまプリマー新書は面白い本が多いですが、本書もまた興味深く読み進めることが出来ました。

3.8

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