お客様にとってベストな選択肢って何だろう? 書評45『ジョブ理論』クレイトン・M・クリステンセン

書評

言うなれば「究極のお客様目線」
イノベーション理論の大家、クリステンセン氏による
消費者の購買の動機を紐解いた一冊です。


著者は消費者が解決を求めている要求を「ジョブ」
ジョブを片付けるために企業のプロダクトを購入することを
「プロダクトを”雇用する”」と名付けています。


日々口酸っぱく「顧客のニーズを掴む」ことを指摘されているものの、
いつの間にか自社製品ありきな思考に陥っている企業は数多くあります。
本書では、顧客のジョブを適切に捉え、消費者の要求を解決へと導いてきた
イノベーター達の過去事例を振り返ります。
そしてそこから、顧客が何に課題持っているかを正しく認識し、
どうすれば解決の支援ができるのかを明確に理解する方法を考察します。




名著『イノベーションのジレンマ』ほど堅苦しくなく、
内容も平たく言えば「お客様志向の大切さを学ぶ本」なので、
丁寧に頭の中で咀嚼しながら読み進められる一冊です。



顧客が抱える「ジョブ」を企業内で共有し、皆が「ジョブの解決」という
同じ目標に向かって進むことの大切さは、とてもよく共感できます。


私が実際の業務でこれを強く感じるのは、いわゆる「クレーム対応」の機会です。

クレームが発生した場合、まず初めに顧客と企業の間で解決すべき課題(=ジョブ)
の定義付けをする
ことが重要なのかなと思います。


顧客とジョブを共有することで、ジョブの解決に向けた最短の道筋が見えてきます。
加えて顧客が持つジョブは、「クレームを解決したい」のみならず
「逐一状況報告をしてほしい」という潜在的・感情的なものも生まれてきます。
だからこそ、メールでの報告だけででなく、些細なことでも電話で情報共有を図る。
直接的なコミュニケーションが顧客の感情的なニーズを満たし、
より円滑に根本のジョブ解決を進めることができる。と思っていますし、
私はこれを信じて日々業務に従事しているつもりです。


上記の点から、本書の内容はクレーム対応の場で非常に役立つ思考法だと感じました。


一方で、新規商材を拡販する際のジョブ定義は非常に難しいです。
企業側が一方的に考える顧客のジョブは実際のそれと乖離がある場合がほとんどです。
最初はお客様目線に立った提案を考える企業担当者も、
「この製品とあの製品を組み合わせて、この課題を解決したい」と
考えるうちに、いつの間にか「この製品をどうやって売るか?」
というプロダクトアウト的志向に陥ってしまいます。
※これは今の私にとって一番の悩み所です。


本書で学ぶ理論は、顧客がどんな考えに基づいてプロダクトを選択しているかについて、
大きな示唆を与えてくれます。
では顧客のジョブをどうすれば掴むことができるのか?を理解するには、
もう少し修行が必要なようです。
著者のイノベーション書籍には理論書と実践書があるようです。
読み続けることで、そのヒントを得られる気がします。


今回も刺激的な読書体験ができました。
いやあクリステンセン面白いなあ~~

3.8

コメント

タイトルとURLをコピーしました